第55回(社)日本透析医学会学術集会・総会開催のご挨拶
平成22年6月18日(金)〜20日(日)神戸市にて第55回日本透析医学会学術集会・総会を開催させていただきます。皆様におかれましては多数のご参加、ご演題のお申し込みをお願いいたします。
透析療法のマイルストーンは、人工腎臓を開発したDr Kolff、慢性透析療法を確立したDr Scribner、透析量の概念を示したDr Gotchと私は考えています。とくに1960年代に臨床使用されたDrScribnerの血液透析システムは透析療法を標準化したものでありバスキュラーアクセス、ダイアライザ、透析液、抗凝固薬、透析液清浄化対策と現在の透析装置のすべてを有していました。それ以降、世界中で慢性透析療法が行われるようになり、本邦においても飛躍的に施設数が増加してきました。われわれの施設も1968年より彼らのシステムを導入し今日に至っています。それ以降、確かに個々の技術の進歩と合併症対策により透析患者数は飛躍的に増加し、生存率も向上しましたが、透析療法の基本はDr Scribnerの時代と変わっていないのが現状です。しかも未だ不完全な治療であり、それを補うがために自己管理の名で患者個々へ過大な負担を強いています。
今後、透析患者の問題点を解決するためには、更なる透析科学の発展を計る必要があります。たとえば多くの透析患者は高リン血症に悩み、われわれは食事制限を課していますが、これは連日透析を行えばたちどころに解決します。しかし、必要とされる全ての患者に連日透析を行うことは未だ困難であり、現状では選ばれた人しか享受されていません。解決のために新たな透析装置や自己穿刺装置の開発が必要ですし、医療保険制度の改革も必要となります。つまり科学が進歩すれば、患者の負担と悩みは少なくなっていくと思われます。今回、テーマを“透析科学の極み”とした所以です。
20世紀以降、科学の発展が人々に幸せを与えてきました。最近は反省の論が目立ちますが現在でもなお正義であると考えます。透析療法は人工臓器的手段を用いて腎機能が消失した人々の生活を支えてきました。われわれは今後とも純粋にこの道を突き進む必要があります。“極”は果てしなき先にありますが、それに向かって一直線に進むのが科学者としての我々の責務と考えます。第55回日本透析医学会学術集会・総会がその一歩を担えれば幸いと思っています。
神戸での活発な論議をお願いするところです。
第55回日本透析医学会学術集会・総会
会長 川西 秀樹
(医療法人あかね会 土谷総合病院)
